転職活動における最大の難所は、採用面接の場面で行われる「面接官との交渉」です。
昨今の転職活動は、筆記試験の比重よりも面接試験の比重の方が配点のウェイトを占める割合が大きくなっている傾向が強いです。
バブル絶頂期の高度経済成長期だったかつての日本社会では、面接試験よりも筆記試験の方が重要視されていた風潮もありましたが、学力テスト偏重の弊害を見直す意味合いも含めて、今では面接試験の方が厳しくなってきているような気がします。
昔は、筆記試験さえ合格できれば面接試験というのは形式的な形だけのものといった慣わしだったのですが、そのせいで頭でっかちの職場の雰囲気に馴染めない社会不適合者みたいな若者が入社してきてしまうという事態が大量に発生してしまうようになりました。
そうすると、今度は、筆記試験はあくまで足切り点数さえクリアーしていれば及第点とすることにして、それよりも人柄や人物重視の面接スタイルに切り替えて選抜するような制度に変更されてきました。
「筆記試験」というのは、予め模範解答が決められているので、ある程度、予備校に通ったり、問題集や過去問集などで事前に勉強していたりすれば解けるようになるのですが、「面接試験」というのは、面接官との相性やグループ面接時のメンバーとの相性など自分の力ではどうにもならない「運」の要素が大きく関与してくるので、筆記試験よりも難関試験だと言えます。
転職活動における採用面接時の「面接試験」では、あなたという1人の人間が、複数人の面接官たちの審美眼によって、多角的な角度で隅々までチェックされていると思っていて間違いありません。
それこそ話す言葉の一言一句、手振り身振りなどの一挙手一投足に至るまで、微に入り細に入り、見られて審査されています。
くれぐれも、素の自分を全部曝け出して理解してもらおうだとか、自分のことをきちんとわかってもらえるように洗いざらい自己開示してしまおうなどということは考えない方がよいと思います。
転職の場面での「面接試験」というのは、面接官と応募者との間で繰り広げられる真剣勝負の戦いなのですから、一瞬の隙も与えてはいけません。
時々、面接試験が上手くいって見事に採用された内定者の中には、面接試験が笑いっぱなしの談笑で終始したので受かりましたというような体験談を語る猛者もいますが、そのような極めて稀な成功事例をくれぐれも真似しないようにして下さい。
それは、たまたま偶然の「棚からぼた餅」のような奇跡的なラッキーな出来事に遭遇しただけの偶発的な結果論なのであって、万人に通用するような方法論ではないです。
通常の面接試験では緊張感が張り詰めているので、顔の表情には鉄壁の仮面を被って、身体にはリクルートスーツの鎧を着た戦闘モードで臨むぐらいで丁度よいのです。
面接試験の真最中に笑みを浮かべて和やかなムードを演出しようなどという姑息な演技は一切必要ありません。
また、面接試験は家に帰るまでずっと継続していると思っておいた方がよいと思います。
なぜなら、面接試験が終わったと安心してしまい、帰りの電車の中でスマホをいじってゲームをしている場面を見られて不採用になってしまったという事例や帰路途中のカフェで友達と大声で電話で笑いながら話している姿を面接官に見られてしまって不採用になってしまった事例などがあるからです。
自分の部屋に戻るまでは、極力、素の自分を曝け出さないようにしておいた方が、面接試験には合格しやすくなるので気を付けて下さいという話でした。